片側顔面痙攣:付き合う気持ち。

2015.06.02 21:31|受:ワタシ病気録
片側顔面痙攣の頭蓋骨開いての手術を、
完治目指して、一大決心をして受けて、1年8ヶ月。
こういう形で、また、執刀医のもとを訪ねることになるとは。

『痙攣再発』

現実に、微弱ながら、顔面痙攣は、再発している。

残念。
ただただ、残念な気持ちを抱えて、病院の脳神経外科を再訪した。

最初に来たときは、ひたすら「治して貰うのだ」という、
全力前向きな思いしか、なかった。
手術の恐怖も失敗の想像も、そこまで、せず。
のんきなもんだったよなぁ、と思う。

病院を見上げて、ずいぶん妙な、気持ちが、した。



0601 (1)



痙攣は、ある。
ただし、手術前より断然、軽度。

この『片側顔面痙攣』という、病(というか症状)は、
1万人に1人、程の確立だとどこかで読んだ。
執刀医にも聞いたら「そうです」との返答。
ああそうなんだと、改めて思った。

1万人に1人。

確立として”多い”とは、もちろん思えない。
だけど、ワタシがワタシとして生きている中での出来事だから、
何万人の人口でそれが発症しようとしまいと、
言ってしまえば、あまり関係がない。

数年前までのワタシには、この1万人に1人は”ゼロ”だった。
それが”100”になり、
手術による行為でまた”ゼロ”を目指したけれど、
ゼロには戻ることが出来ず、”20”くらいの、復活をむかえてしまった。
でもそれはやっぱり、もう、”ゼロ”では、ないのだ。
ゼロ治癒は、叶わなかった。
残念。
それは、誰のせいでもなくて。
ただただ、残念。


術後の経過を画像でも診てみたい、と執刀医に言われたので、
MRI撮影をした。
画像診断する限り”特段異常なし”

「痙攣の収束へ向かう途中の、出来事かもしれません。
だから、今回の手術がどうだったかと、結論づけることは、早い。
でも、もしかしたら違う原因があるかもしれない。
脳幹近くの、くも膜が加齢に伴い、硬化をして、
それが板のように挟まって、血管が押して、触れているのかも、しれない」

くも膜までは、MRI撮影でも、画像に出て来ないらしい。
くも膜は、サランラップやクレラップより、まだ薄いのだという。
それが硬化したかも、でも、こう。
どれだけ体内というものは、繊細なんだ!(驚愕)

「肌が薄い人もいれば、皮の厚い人もいる。
それと似ていて、くも膜も薄い人もいれば、硬い人もいます。
あなたは若いのに、比較的”硬い”人でした。
脳幹の近くで、摺りガラスのようになっていた箇所がありましたから。
(もちろん手術直後の説明で、聞いているので、周知)
でも、それが今、どうなっているのかは、
やはり、開頭をして、中をじかに見るほか、ないのです」

1万人に1人の割合で発症する症例で、
80%程度の人が、頭蓋骨開頭手術で、ほぼ完治する。
ところの、再発。
で、もしまたいつかの手術、となれば、
どれだけワタシは、レアケースなのだろう。

「手術は、いつでも出来ます。
ただし、何度も言いますが、まだ時期尚早だと思います。
確かに痙攣は、確認出来ます。
でも、こう言うのもナンですが、酷くはない。
でも、あなたにしてみれば、さぞ落胆もされるでしょうし、
施術までしてピタリ治らなかったと、気落ちもするでしょう。
手術前より断然、微弱な痙攣なのだから、
気にしないでおりなさい、なんていうことは、言いません。
さぞ、煩わしいことでしょう。
でも。
この症例は、命にまったく別状がないのです。
放置しておいても、ぜんぜん構わないのです。
だから、医者として、前と同じ。
手術をしましょう、するべきです、というようなことは言いません。
でも。
だけれども、あなたの人生なので、
こんな痙攣を完全に消滅させたいと、
強く再手術を希望されるのだったら、いつでもやります」

ただし。

「ただし、2度目になると、痙攣の原因追及は、より難問になります。
開頭をして、ここだと分かった箇所は、原因除去を
施しているので、それ以外の箇所を探すことは、
よりいっそう、繊細なことなので、難問になります」

おまけに、ワタシの”耳鳴り”は、
原因が「分からない」と言われた。
顔面痙攣との因果関係が、そこに分からないと。
もはや神秘としか、言いようが無い。


執刀医と面談をしながら、慌てるでもなく、凹むでもなく、
思っていたよりずっと、気楽に話をすることが、出来た。
これはある意味、自分自身で、思いのほか
片側顔面痙攣のことを、受け入れているのかもな、と思っていた。

「先生。
失礼な言い方かもしれませんが。
ワタシ程度の微弱な痙攣の復活では、
手術前に比べりゃ断然楽だから、もういい、と思って、
再診察に来ていない患者さんも、いるかもしれないですよね。
手術が失敗だったか、成功だったか、思ったかどうかは別問題で」
そう言ってみたら、医師は「なるほど。それはそうかも」と、
妙な感心をされた。
あるいは、もしかしたら、別の病院の医師へ
相談に行った人もいるかもしれないですよね。
と、これは言わないでおいたけど(患者マナー:笑)

「痙攣は確かに微弱に見受けられます。
でも、とにかくまだ、経過観察しましょう。
これがもし。
もしも、数ヵ月後、数年後、もしも、酷くなるようだったら、
それはそのときまた話し合いましょう。
日常生活に支障が出るかもしれない。
あるいは、言葉はいけないかもしれないけれども、
精神的に疲弊してしまうかもしれない。
そのときは医師として、再手術を勧めるかもしれない。

でも、何度も言いますが、こればかりは、
患者さん側の、お気持ちの問題なのです。
ものすごく痙攣が酷くて、日常生活にも支障が、と
思われるような方でも、いやいや手術は怖いからしません。
そう言われる方もいます。
それほどでも無いと思うような方でも、
とにかくこんな痙攣から開放されたいから、と
手術を希望される方もいます。
それは、こちら側の判断ではないのです。
何度も言いますが、命に関わることではないので、
すべては患者さん側の気持ち次第なのです」

そして、こうも言われた。

「ルゥさん。
お気持ちは分かります。お察しします。
でも。
だけれども、それだけに囚われて暮らさないように。
痙攣だけに、すべて囚われて暮らさないようになさって下さい」

気持ちの落としどころを、どこに置くのか。
これがワタシの、今後の課題だと、思う。


病院から歩いて15分程度の場所にある、
実家へ立ち寄って、両親といっしょにお茶をした。

何が悲しいというと、両親がワタシ以上に落ち込んでいる。
そんな姿を見ることこそが、最大に悲しいことだ。

「せっかくあんな。
頭蓋骨に穴まで開けて、辛い思い、うんとしたのに…」
辛い思いをうんとしたのに、完治出来なかったなんて、ということ。
それが一番、両親を落ち込ませている。
それと同時に、1万人に1人という症例を持った子に産んでしまった。
「ごめんなさい」と、母が悲しそうに言う。
「ほんとうにごめんね」と、母が何度も言う。
それがワタシにとって、最大に辛い。
パパ。
ママ。
それは本当に、どうでもいいことなの。
どうぞ気にしないで。ほんとうに。ほんとうに。
この世に生れ落ちたときから、ワタシはワタシなのだから。
パパとママの分身でもなければ、クローンでも、ない。
どうあれ、ワタシは、ワタシなのだから。


医師との面談を終えて、退席するとき。
「あなたの今後がとても気になります。
ものすごく、気にしています。
だから数ヵ月後、また診察に来て下さい」と執刀医が言われた。
でも、よほど重篤な痙攣に悪化しない限り、再訪はしない。
そう言ってから、言い直した。
「やっぱり。
数ヵ月後再訪するかもしれませんし、1年後かもしれませんし、
数年後かもしれません。
でも、もし、幸いなことに、数年後にででも、
完治した!と思っても、先生にご報告に伺います」と。

せっかくのレアケース患者例。
先生の治療例のひとつに、使って貰えたら。
こんな特殊な事例もあったな、という、例に。
そう言うと、医師も横にいる看護師さんも、笑ってくれた。

会計表を看護師さんから受け取るとき、
看護師さんが。
「患者さんの皆さんが、ルゥさんのように前向きではないです。
ルゥさんも、今のようなお気持ちになられるまで、
ずいぶん苦難なさったと思います」
そう、ねぎらって、静かに、ワタシのために、微笑んで下さった。
この看護師さんは、外来診察の看護師さんで、
1年8ヶ月前の手術のときに出会って、以後、覚えていてくれた方。

あのとき、最後の術後経過観察での診察のとき、
「晴れ晴れとしたお顔なさっていて。
私もとっても嬉しい」と、施術の成功をたいへん喜んで下さった。
なので、とても気を遣って頂いた。

本当に、どうもありがとうございます。


外来病棟は、ところどころ手入れをされていて、
お手洗いなどが最新式?設備に変わっていた。
1年と8ヶ月の間に、いろんなことが、少しずつ、変わっているんだと思う。

悲しまないで、パパママ、と思いながら、
どうもありがとう、と看護師さんのことを思いながら、
帰宅の阪急電車に乗った。

変わらない景色も、ある。
ただそこを通り過ぎるときの自分は、一瞬たりとも同じではない。
今のワタシは、今起きている自分自身の内側の問題を、
出来るだけ穏やかに受け入れようと、努力をし始め出したところ。
完璧なものなどどこにもなく、
完璧なことなど手に入らないこと。

引き受けること。
永遠の付き合いかもしれない

努力の幅を、もっと、持たねば。
症例と付き合うすべを、もっと、じっくり考えよう。



0601 (2)



オットとちま。
のんきでいてくれる。
それだけで、いいなと思う。

いやだいやだいやだいやだいやだいやだと、思うと、泣けてくる。
いろんなことがもうどうでもよくなってしまう。
治りたかったのだと、ものすごくものすごくものすごく強く、
その方向に思いを寄せると、いくらでも、寄せることが出来てしまう。
落胆の絶叫で、いくらでも凶暴な涙を流すことが出来てしまう。
それはよくない。
ときとして、よいときもあるかもしれないけど、
あんまり、よくない。

もっともっともっと、事情が酷くなったとき。
そういうとき用に、最悪の気持ちは、とっておこうと思う。

前向きではなくて、
ちょっと斜め前向き。


そんな感じで、ゆこうと思う。

オットとちまが、いっしょだから、大丈夫だと思う。



0601 (4)



病院のほど近くに咲いていた、紫陽花。
色がどこにもつく気配がないから、きっと白い紫陽花だと思う。
きれいだなと思う気持ちがある。
だからたぶん、まだイケるワタシがあると思う。



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コメント

Re: 鍵コメント様へ

鍵コメント様、

暖かいお言葉をお寄せ下さり、ありがとうございます☆
長々とした犬とは無関係ブログですが、
お読み頂けて、幸いに思っております。

日々の暮らし。
のらくら参ります。
どうぞ、お気が向かれましたら、またお立ち寄り下さい!☆

片側顔面痙攣治療中

発症から約10年して病名や原因判明。
鍼灸整骨院に通院中。
寛解、悪化を繰り返しながらも、基本的な生活は変更なし。
仕事や趣味も継続。
先生の指導による生活改善、自己選択による様々な療法を試行中。

Re: お立ち寄り下さりありがとうございます

ちづみん様、

お立ち寄り下さり、ありがとうございます。
同じ症状をお持ちなのですね。
いろいろ思うところや悩みは尽きませんが、
お互いがんばりましょう。

お大事になさって下さい。
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