泣くと言われて観た映画。

2015.03.05 18:16|日記
※映画のあらすじに触れますので、ご注意頂けますよう。

とある朝の報道番組で。

司会の長野智子氏が
「観て泣きました」と言われたのが、みょうに印象に残り、
観た映画が『小さいおうち』 山田洋二監督作品
(長野智子氏のことは、勝手に信頼しているので)

結果から言うと「たしかに、泣けた」

ただ、ワタシが流した涙の中身と、
たぶん長野智子氏が流した涙の中身は、ずいぶん違う気がする。

『小さいおうち』のお話は、基本的には、おとなの恋愛映画。
とある瀟洒なお宅に、お手伝いさんとして雇われて来た、
若い若い娘、女中・タキちゃん。
このタキちゃんの視点から見ている、
奥様と亭主の部下である若い男性社員との、秘めた恋が、軸。

舞台背景の時代は、日本が戦争に突き進んでいる真っ最中で、
情勢としてはたいへん不穏で、きな臭い頃。
そんな不安定極まりない頃に、
タキちゃん憧れの奥様と、そして、
タキちゃん恋心を寄せる男性社員くんとの、道ならぬ情事。

”小さいおうち”の中で起きる、
小さな嘘や、小さな裏切り。
小さな(いやでも小さいとも言い切れないか)、背信。
そして、それを大きく飲み込む、戦争という、大きな、悲しみと罪。
それらが、ぐるぐると渦巻きながらも、
丁寧に美しく描かれてゆく、日常の、日々。

泣けた。
たしかに、泣いた。
ただし、ワタシの泣いた涙の先は。
女中タキちゃんが、戦後を生き抜いて現代まで生き、
そして、いろんな”秘密”を抱えたまま、逝去した場面で。

タキちゃんは生涯独身を貫いたけれども、
縁戚の子どもである、気立てのよい姉・弟と、
生前たいへん良好な関係を持っていたようで、
タキちゃんは、独居先で亡くなっていたのを、
弟くんに発見されて、葬儀にいたった。

火葬場の煙突から立ち昇る、”タキちゃんの煙”
それを、縁戚の人と、姉・弟くんが、見あげていた。
その場面で、ワタシはしみじみ、しみじみ、泣いた。

「タキちゃんは、幸せな人生だったな」と。

タキちゃんには、【小さなおうち】で暮らしたときに、
大きな”秘密”があって、
それを抱えたまま死んでいったので、
それはさぞかしつらい人生だったろう。
そういう解釈をおそらく多くの観客はするのだろうけれど、
ワタシの感動はそこにはなく。

自分が煙になる姿まで、見送ってくれた人々がいた。

そういうところに、胸が突かれて、泣いたのだ。
(映画のあらすじと、ちっっっともリンクしないという、この感動:苦笑)



0301 (4)



ワタシは子どもがいないので、オットが先立てば、ひとりになる。
(年齢的な順番としては、オットが川向こう行き先発)
親だって残念だけれど、命は永遠ではない。
姉家族がいるけれど、姉には姉の暮らしがある、という一線をもった
関係性で暮らしているので、お互いぐるぐるに立ち入った懇意さは、さほど無い。
(もちろん不仲ではないけれど。ま、クール?)

「葬儀はどうでもいいけど、
自分の骨が焼きあがったときの、
骨の後始末は誰かにして貰わねば、火葬場の迷惑になる…」

と、コレを思うことが、最近、しばしば浮かぶようになった。
四十路も十分超え、体調自体はまぁ悪くない暮らしをしているけれど、
年明け以降、気分がやや凹み気味。。。

片側顔面痙攣での手術をして、
頭蓋骨に穴を開けてまでした施術なのに、
最近また”再発”を予感させる耳鳴りや、軽い痙攣が頻発するようになって。
それが「あぁあぁーもぉー…何だかなぁぁぁ…」と、
気落ちさせられる要因として、やはり、とても、大きい。

「年を取るって、何かいい事あんのかな」

この頃、こんなことを、しょっちゅう思うようになった。
なにせ、片側顔面痙攣だって、発症しやすいのはズバリ”中高年女性”なのだ。
若い女性には、ほとんど発症しないのだから。

年を取ると、体力も体調もガタピシになるみたいだし、
病気だって疾患だって、随所に発生して来るみたいだし。
記憶力も集中力も低下するらしいし、
よほど自分を律してシャン!としておかないと、
生きながらも、ボロ雑巾みたいになりそう(←ボッサーとしてるからかなり、ヤバし)

※と、思いつつ、以下やや脱線。

独身、あるいは、子どもなし女優や女流作家(今回女性限定の括り)等で、
ずいぶんご長寿だった人々はたくさんいるけれど、
でも、みんなエスタブリッシュな人々で。
会社関係者の人だったり、付き人だったりマネージャーだったり。
あるいは、お手伝いさんだったりたくさん親族だったり、がたいがい、ある。
だから、一般的な”独居”とは違うと思う。

ただ、とあるテレビ番組で、
小泉今日子氏×マツコ・デラックス氏×YOU氏が
おしゃべりトークしているしているのを、何気なく見つめていたとき。
あの小泉今日子氏をして
「YOUちゃんはいいのよ。子どもがいるんだから」と言われていて、吃驚。
「でも子どもはいつか家、出てくよ」と反論するYOU氏に、
さらにマツコ氏とふたりして「でもやっぱり、子どもいるのは違うよー」と。
マツコ氏も「独身で子どももいなくて。これでいいのかなって思う」と
いうようなことを言われていたので、ますますもって、感慨深かった。
(マツコ氏の女装は、最初はたんに趣味だったそうなので、より、深い)
セレブリティをしても、そうなのか!と思って、
たいへん印象的な番組だった。

ワタシはこれらを、すべて今は、
「焼きあがった骨をどうしたら」と思っているからだと、思っているけれど(←単純)
もっともっと加齢すれば、もっと込み入った感情でもって、
自分の最期の後始末、について、思うところが増えるんだろうな、と想像する。

だとしたら、いったいこの先の「年を取る」ということに、
何かハッピーなことって、あるんだろうか、と、いっそう思うようになった。
タハァ…

これって、米国在住友人に話したら、
きっと【ミッドライフ・クライシス】だと言うのだろうなー(苦笑)
まぁ、典型的な年齢と感情のようだから、その通りなんだろうけど(苦笑)

病院へ行ったら、婦人科へまわされたら
「更年期障害でのホルモンバランス異状による」なんて言われ、
心療内科へ回されたら「軽いうつ病」とか診断されると思う。
米国でならば【ミッドライフ・クライシス】
この方が、どうせなんか言われるなら、カッコイイ(苦笑)



0301 (1)



オットに、映画を観たその夜。
お布団へ入って電気を消すとき、
「ね。年取るのって、いいことあんのかな」
そう聞いてみた。

オットはひとこと。
「さぁね。ワカンナイ」
そう一言だけいって、寝息をたてた。

ワカンナイ。

ワカンナイよな、確かに。

次の日、ヤボ用で姉にメールをしたとき、
ついでに同じことを言ってみた。
姉からの返信は、こう一言。
さぁね。ワカンナイ
でもま、生きてんだし。
それだけでいいんじゃないの」

タフなやつ、姉(苦笑)

映画『小さなおうち』を観ながら、ちまのことを思った。
ちまの最期は、きちんと見送れますように、と。
ちまのサヨナラは、きっちり、きっぱりと、見届けてあげたい。

それが、今のワタシの、ささやかな、生きるカテ



0301 (3)



恋愛小説や恋愛ドラマ、恋愛映画などなど、
”恋愛”らしきモノは、まっっったく興味無しのワタシ。
「さっさと好きって言っちゃえよ!」とか
「テキパキ好きですって伝えろよ!」などと、
いわゆる恋愛における機微や、駆け引きなど、
一切無関心な上、理解も出来ず。
「もーまどろっこしいー!しゃらくせーな!」などと、毒吐くワタシ。
なので、長野智子氏の一言を聞かなければ、
出会わなかった映画『小さいおうち』
ココロ震えた場面は、映画の本筋とはまったく無関係な箇所だったけれど、
久しぶりにじゅんと泣けて、心地良かった。
よい映画だったな、と思う。

ちまをちゃんと見つめるためにも、
しばらくはせめて、元気でいたいと思う。



0301 (2)




ランキングに参加しています。ぽちっとおひとつ、どうぞよしなに。               にほんブログ村 犬ブログ MIX小型犬へ
にほんブログ村

コメント

非公開コメント

06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
プロフィール

ルゥ

Author:ルゥ
京都のすみっこから、オットとマルプー・ちまとのんびり暮らす日常を気ままに綴ります。

最新記事

最新コメント

月別アーカイブ

カテゴリ

ひねもす手帖 京都のすみっこから