片側顔面痙攣・術後1日目~4日目辺り

2013.10.19 00:42|受:ワタシ病気録
私の体験した今回の手術は、こう。


頭部を15cm程切開して、頭蓋骨を4×4cm程穴を開ける。
硬膜を切り、髄膜を切り、くも膜下を切って、脳内部へ。
脳幹に程近い場所にあるであろう、この痙攣を引き起こしている
圧迫箇所探して、そこに、私の首筋から筋肉組織をカットしたものを、
持って行って、挟み込む。
またこれを逆の工程で、縫合してゆき、
最後は頭蓋骨をチタン製のホッチキスみたいな
特殊な器具で、頭蓋骨を留めて、完了。

全身麻酔で手術時間は5時間前後。
麻酔科の先生にお聞きすると「手術時間が短いから順調で良くて、
長いから宜しくない、とかいうものではないですからね」と、にっこり。
そういうものなのかぁと、素人は、素人なりに、理解する。



術後1日目。



ナースステーションの真横にあたる”特別個室”に移動したのは、
手術の翌日の午後2時だか3時頃だかのことだった。

頭痛は酷く、首筋の痛みも激しく、吐き気も継続引き続き。
めまいは随分治まっているものの、念のため、お手洗いにゆくときには、
しばらくは、看護師さんを呼ぶように、と指示される。


部屋を見渡す余裕もなく、ベッドに仰向けに、横たわる。
とにかく、全身疲労困憊。
倦怠感も、ものすごい。
それでも”個室”に移ったという安堵感と、
あらゆる管や尿管カテーテルなど取り払われた開放感に、
しんどい中にも、歓喜の思い。

あちこち痛みがあるなりに、ウトウト、寝る。
身体が”眠り”を要求している気がした。
寝ることで、体力の回復と、そして、寝ることでの現実逃避のような、
そんな睡眠。



でも、やはり尿意は当然来るので、医師の言いつけ通り、
申し訳ないと思いつつも、ナースコールで看護師さんに、
お手洗いの介添えに来て貰う。


ベッドからお手洗いまでは、ほんの2メートル程度。
目と鼻の先。
それでも、術後初・自力お手洗いをし終えたとき、
ぐっと胸にムカつきがこみ上げて来て「おえー…」
便器に顔を突っ込むようにして、吐く。
食物を口にしていないので、出るものは無いので、
それがまた、嗚咽だけの行為で、しんどかった。

異変に気づき、お手洗いの外に、待機してくれていた看護師さんが、
すかさず入って来て「大丈夫ですか?」と、背中をさすってくれた。
そしてさすりつつ「血圧測ります。ルゥさん、このまま動かないで」と言われた。

「げげげーっマジで?こんな体勢で、マジですかー…!(絶句)」
何度も嗚咽しながら、ワタシは内心仰天していた。
こんな格好でこの場所で、血圧測定ってかーと。

でも、そのときのワタシの血圧は、異常上昇していたようで、
看護師さんが他2名ほど加勢に来られて、
ほんのすぐそこのベッドに戻るのに、
ワタシは、車椅子にかついで乗せられ、移動したのだった。
年齢に係わらず、異常な高血圧のときには、
本当に少しでも、無理して動くのは危険なのだな。
そう、オエオエしながら(失礼)思った、貴重な経験。





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脳神経外科の執刀担当医と、医長が、様子を診に来て下さる。
オットや両親も、いた。

執刀医がまた「ルゥさん。目をギューッとしてパッ!をして」と言う。
出来る限りのチカラでもって、それに応えるワタシ。
「うん、痙攣出てませんね」と、医師。
母が良かったぁというような、小さな歓声をあげていた。

手術中に余計な出血もなく、また、小脳の腫れも
比較的抑えた状態で完了したと、聞かせてくれる。
いろんなことが、万事首尾良く出来たと、先生のお言葉。
とにかく、一大事は済んだーと思い、
とんでもなくしんどい状態ではあるけれど、
とにかくとにかく、ホッとした。
そして「頭蓋骨に穴を開けてすぐ!でも、
おしゃべり出来るなんて、すごいよなぁ!」とも、思っていた。
現代医学って、ほんとにすごいっ!と。

そして、ワタシはその後も、小さな吐き気を繰り返し、
大きな頭痛と首筋の激痛を抱えながら、
うたたねをしたり、ぼんやり起きたりを重ねながら、
時間の流れの曖昧な1日を、過ごした。




ワタシは幸いなことに、手術執刀がナイ(よほどの緊急でない限り)
週末が重なって、重篤患者専用個室に、
先生や看護師さんのご配慮で、合計3日間過ごさせて貰った。

点滴は1日中、朝から晩までぶら下がっていた。
始めのうちは、大小併せて5~6袋は、次から次と、あったと思う。

内臓等に疾患など無いので、病院食は、脳外科手術をした
翌朝即!から”通常食”が手配されていた。
けれど、とにかく”匂い”に、いちいち胸焼けを感じていたので、
食事は、術後3日間程、ほとんどまともに食べられなかった。

若い看護師さんの、ほのかなシャンプーの香りでも「うっ…」
首筋が痛いので、病院の枕では当たりが高過ぎるため、
実家から幅広で低めの、母お手製クッションを持って来て貰うが、
そのクッションの柔軟剤の香りにも「うっ…」
妊娠経験が無いので”つわり”のことを言われてもピンと来なかったけれど、
ワタシのそれが「似てる」と言われたら「なら、分かった!」と断言出来る。

なので、食事を摂れていないということから、
ワタシの点滴日数は、通常のソレより、長くかかってしまった。
(でも、食べられないんだもんー:涙)
めまいや吐き気はほぼ消えていたけれど、
とにかく胸のムカつきだけは、なかなか薄れず、
これには本当に、最後の最後まで、悩まされた。


病院で出して下さるお茶にも、気分が左右される程で、飲めず。
両親やオットが持ち込んでくれる、果物(ぶどう・りんご・梨)と、
ゼリーと売店で販売している『いろはす』の水で、食いつなぐ。





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術後、微熱(37度6~7分)が続いていたので、
看護師さんのご配慮で、始終アイスノンを貸して貰う。
すごく冷えが心地良いけど「こんなに頭、術後冷やしても
平気なのかしら…」などと思いつつも、とにかくアイスノン、気持ち良かった。


朝なのか夕方なのか夜更けなのか、時間感覚を失ったまま、
そしてそれすら気にならないままに、ひたすら、寝る。

正体が定まらないような、曖昧な意識の中、
自分の身体を持て余しながら、
大好きな映画『ルパン3世 カリオストロの城』の一番面で、
ルパンが大怪我を負って、3日3晩眠りっぱなし、というシーンを思い出す。
確かルパンは意識を取り戻して後ムクッ!と起き、
「血が足りねぇ!食い物持って来いーッ!」と、次元や周りに叫んでいた。
ワタシは今、きっとその手前にいるんだ。
そう思っていた。




術後2日目やら3日目やら4日目やら~



看護師さんにホットタオルと、お手を借りて
身体を拭く。
ワタシは、点滴の管が付いたままなので、
身体の大半を、看護師さんがきれいにして下さった。
熱いタオルに汚れがぬぐい去られるようで、
本当に気持ちが良かった。


食事がまだ、ほとんど駄目だったので、点滴は継続。

ただ、抗生剤入りの点滴のせいか、
とある深夜に、太もも内側を基本に、じんましんが出た。
看護師さんに、夜更けにも関わらず、またホットタオルで拭いて貰い、
患部に塗り薬を塗って貰う。
幸いすぐ治まったことと、抗生剤入りの点滴は
その日までだったので、ホッとする。


そして、そのホッとと同時に、また痙攣が出始める。。。!!!


右側を下にして寝ると、ズンズンズン…と、耳鳴りも、し始めた。
悪夢を体感中のような気持ちになる。
「せっかく術後、ピタッ!と治ったと思ったのに…?!」と、
ぼんやりしつつも、やはり相当に、凹む。
まだ術後、ほんの3日程しか経っていないので、
本当に頭も首筋も、どこもかしこも、痛いのに、
こんなつらい思いまでしてした手術なのに、もう再発…と、
凹んで凹んで、泣きたい気持ちになった。

医師は、毎日朝夕、回診に来て下さるので、
明日朝一番に相談しようと思う。



医師の早朝も、早い。

早いときで、回診は朝の7時25分だった。
遅くても、8時半までには、毎朝来て下さる。

朝に、傷口確認と消毒、傷テープ交換。
傷は不敷布?のようなふかふかしたモノで覆い被され、
それを粘着力の強いテープで、べったり固定。
傷の大きさが15センチ程で、それを全部覆うから、
そのカバーの大きさも、なかなかのもの。

今回のワタシの執刀担当医であり、
脳神経外科の部長である(兼副院長)と、若い医長の
ふたりが回診に来て下さる。

そのときに思い切ってお聞きしたいことがと、切り出す。
すると、時間を取ってまた出直す、と言って下さって、
テープ交換から程なくして、執刀担当医の先生が来てくれた。


脳神経外科のこのお二人の先生は、どちらも本当に素晴らしかった。

部長医師は、大きくはっきりした口調で、スパッ!と語られる。
そこに嫌味はまったく無く、さばさばしてらして、豪快で爽快。
若い医長の先生も、素敵。
穏やかで落ち着いてらして、言葉にブレが無い。
照れるほど真っ直ぐな視線でこちらを見て、話をされる。
そのお二人は、いつもいつもワタシに
「遠慮なく、何でも聞いて下さい。
心配やご不安は、ものすごくお有りでしょうから。どうぞ遠慮なく」と、
何度も声をかけて下さっていた。
なので、ワタシも遠慮なく、聞く。


◎術後止まっていた痙攣と耳鳴りが、また再発した。
 こういうことは有りえるのか?

「想定内のことです。
術後ピタッと痙攣が止まる人もいるし、ルゥさんのように
治まっていたのに、数日後また出る人もいます。
数ヶ月経って、出る人だっています。
こればかりは、個人差があるのです。
だから、少なくとも3ヶ月間は、冷静に見守って頂きたい。
痙攣が出た・出ないと一喜一憂するのではなく、冷静に。
それからまた更に3ヶ月様子見。
もし、今回の手術が残念ながらという結果になりそうだと
判断したら、そのときは、こちらから、正直に伝えます。
だから、気長に。おおらかに居て下さい」

◎再発の可能性は?

「3年経って、痙攣が落ち着いていたら、再発の可能性は、ほぼゼロです」

◎最悪、再発した場合は?

「今回と同じ手術をします。
この症状を完治させるには、この手術法なのです」

◎反対側も痙攣が出る、ということはある?

「ケースの報告として、そういう例はゼロではない。
ただし、数字の上で”ゼロ”ではない、という位の確率です。
私の経験上、両側施術をした例は、ないです」



「今回ルゥさんの手術において、少なくとも”原因不明で
処置のしようもなかった”ということは全く無く、
これが原因だろうと思う箇所を見つけ、きちんと処置出来ました。
どの方向から見ても、もう圧迫を起こさないように、施せました。
再発のように症状がまた出たから、それはさぞ気落ちすると思います。
心情はよぉく分かります。
ご家族の方も、さぞがっかりされているでしょう。
でもね、何度も申し上げますが、一喜一憂しないで。
少なくとも3ヶ月!一緒に様子を見守りましょう。
気長に、気長に。ね、気長に行きましょう」

執刀担当医は、そうおっしゃった。

先生は、何を聞いても答えてくれる。
先生には、何を相談しても構わない。
不安が起こればまたいつか、お尋ねすればいい。
両親にもオットにも、そう、伝えようと思う。
ご信頼申し上げることの出来る先生方に、出会えて本当に良かった。



乗り物酔いのような気分の悪さは、なかなか抜け切れない。
でも、先生も看護師さんも、皆さん口々に「食べて下さい」と言う。
「食べて、そして水分補給を」と、誰からも何度も言われる。

素人考えで、点滴から栄養も水分も補填出来ているじゃん、と思うけれど、
これほど再々言われると『口から物を食べ、水分を摂るということ』の
存在の大きさは、やはり計り知れないのかも、と思う。


少しずつ食欲が沸いて来て、母の作る”卵とじうどん”なら
食べたいなぁと思う。
ただ、やはりここは病院。
個室とはゆえキッチンまでは無いので(当然)
共同の食堂にある電子コンロを使って、
市販の鍋焼きうどんを作って貰う。
具材は悪いけど破棄して、卵を入れて貰った。

味付けがものすごく濃く感じて、部屋で食べながら
お水をドバドバ投入する。
両親は「水におうどんと卵で、美味しくなさそうー!(苦笑)」と
ドン引きだけれど、ワタシにはこのくらいの味で、ちょうど良く感じる。
このあと当分、味の極薄味にのみ、食欲が出る。
不思議な味覚体験だった。



若くて優しい脳神経外科医長の医師が、朝夕回診に来て下さる。

この先生が、たいへん穏やかでかつ、熱心に
ワタシの症状の推移を、日々見守って下さっていた。
そしてやはり「一喜一憂せず、どうか気長に」と、会うたびおっしゃる。
ワタシは、先生のご丁寧なご説明で、十分納得したと、誠心誠意返答した。
先生は、いつもマスク着用で、ほとんどお顔が隠れているけれど、
唯一きっぱり見えるおめめが、むぎゅーっと笑って細くなられた。
患者が凹むと、お医者様だって、やっぱり少しは
思うことはあるだろうなぁと、勝手に、思う。


そして、微熱がなかなか下がらないことを、尋ねてみる。
すると。
開口一番に出た言葉は「水分不足だと思います」と。
これにはたいへん驚いた。
水分不足?あれだけ毎日点滴入れてるのに???

「脳外科では、術後、点滴による水分補給量は、
他の部位で手術をされた患者さんより、少な目なのです。
脳への影響などの都合から、そうなのです。
エアコンでの室内乾燥もかなりありますし、
ルゥさんは、まだあまり食事も摂れていないのも、水分不足のひとつです。
それに、動いていないから、熱が発散されず、体内に溜まって、
それが少し基礎体温を押し上げている。
僕はそう思います」と、そうおっしゃったので、
ものすごく『納得!』して『腑に落ちた!』


ふつう37度6~7分くらいあると、
身体がダルかったり、倦怠感もあるのに、
何故かそういうモノが、ぜんぜん無くて。
(術後の頭の痛みは、そりゃものすごく有るけれど)
体温測定をするたび、その体温の高さに違和感があった。
しんどくないのに、この微熱って、と。

看護師さんに尋ねると、皆さん「術後にそうなる方は多い」と
言われていたので、それも勿論ひとつの要因だと思う。
けれど、術後3~4日経たワタシには、
医長の言われた見解の方に、ダーン!と理解のシフトチェンジをした。

そしてそこで実感として『口から物を食べて、水を摂ること』の
行為の重要さを、知った。

食べ物を食べて、水分をとって、運動すること。
思えば、口からモノを入れたら、身体の中身は全部動く。
それだけでも、動いて、熱も出るのだよなぁ!と。

何も思わず日々”食べて飲んで”暮らしていたけれど、
本当にそれらは、実に実に『生きるということ』と直結していたと、知った。
ものすごく、目の覚めるような、大発見をした思いがした。
医長医師に、山盛りの謝意を思った出来事だった。

先生、どうもどうも有難う!と。



落ち込まないでゆこう。
凹まずに。
気長に。
気長に。



病室の窓から、外をパチリ。

少しずつ、いつものワタシが動き始める。




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