ちま、20年と永遠と。

2013.09.02 15:25|ちまのこと
※追悼と哀悼の記録なので、ずいぶん長い記事になります。


「猫の人の猫、亡くなってしまったんやって…」

仕事から帰宅をした、オットが、開口一番にこう言いました。
「えっ!…そうなの。。。もぅずいぶん年だったよね、猫ちゃん…」
言葉を失いつつ、オットに言うと
「うん。20歳だったって」

20歳。
ということは、20年、猫の人は、あの猫とともに暮らしたのだ。。。
そう思い、なんとも言いようのない、胸の苦しい一瞬でした。


”猫の人”とワタシ達は呼んでいますが、友達の間でも、これで通じます。
京都市内に在住の方でなら、もしかすると、この猫の人のことを
街中で見かけたことがあるかもしれません。
とある男性で、その肩の上には、なんと、いつもいつもいつもいつも。
いつもいつも、いつも。
そう、もう本当に、いつだって、いつだって、
1匹の猫が、えり巻きかマフラーのように、首に巻きついて乗っかっていたのです。

ワタシはよく、書店やレコード店などで、お見かけしました。

初めてその姿を見たときは、ほんとにビックリ仰天。
「えっ?!本物の猫?!乗ってる?!」と、心の中でどれだけ反復したことか。
街行く人々も、多数の人は振り返って2度見していたと思います。
正直言って、その姿は、ちょっと風変わりなものでした。
でも、あまりにも男性と猫が一体化しているので、
風紀上・衛生上などの観点から「動物の入店お断り」の店舗でも、
何だかなんとも注意出来ない雰囲気があったことも、正直なところ。
街中のそんな店に勤務していた友人等も、そんな風に言っていたことを覚えています。
「猫困りますって、なんか言えへんかったなぁ(苦笑)」と。

その猫は、とても美しくて、そして何より、ものすごくおとなしい子でした。
猫の人の肩の上から、いっさい飛び降りようともせず、じっとくっついていました。

それは、初めは、ちょっと動物虐待では?なんてことも、思いがよぎりました。
猫の自由意志で動けないそんな場所に、ずぅっといるなんて、しんどくなったらどうするの?とか。
街中で騒音なんぞに怯えて、事故にでも巻き込まれちゃったら?とか。
でも、そんなことは、その男性を見かけるごとに、部外者には口出し出来ないことだな。
そう思うようになってゆきました。

オットと、猫の人は、ちょっとした顔見知りです。
オットはその猫ちゃんを撫でさせて貰ったことも、しばしばあります。
なので、猫とも、ちょっと顔見知りでした。

そして、つい先日。
オットと街中で会った、猫の人の肩の上に、猫はいませんでした。
「猫、亡くなったんです。3日前のことなんです」と、猫の人が言われたそうでした。



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「僕とあの猫の出会いは、20年前の大雨の日のことでした。

当時勤務していた会社に、遅刻しそうになった僕は、
ふだんならまったく通らない道を、急いで走っていました。
その道は、男の僕でも、何となく不穏な感じのする
ひなびた通りで、その通りを抜けた方が、会社には近道だったけど、
ぜんぜん使わない道だったんです。

そこを走っているとき、道端にダンボールが置かれてて、
中から何か鳴き声がするから、つい、のぞいて見たんですよ。
そしたら、いたんです。猫が。

猫はどうやら産まれたて、みたいで、本当にすごく小さなイキモノでした。

僕はもともと、猫や犬とか、ドウブツにはぜんぜん興味も愛着も無かったし、
第一、それまで一度だってイキモノを飼ったことなんて、なかったんですよ。
でも、見ちゃったし。
鳴いてるし。
いや、コレどうする!って、思って。
でも、どうすんねんコレを!と思いつつ、猫を抱いて家まで戻って、
ワケわからんまま、猫をとりあえず置いて、会社へ飛んで行ったんです。

ゆった通り、僕、イキモノに興味が無かったんで、
仕事場についたら、することがいっぱいで、猫を拾ったことなんて
ほんとにすっかり忘れてたんですよ。
で、帰宅するときにハッ!って思い出して。
そうや、家に帰ったら、猫がいるんやった!って。
ほんとに、自分でしたことなんですけど、
どーすんねんアレを!って、ものすごく困惑しました。
えらいもん拾ってしもたーって。正直、後悔しました。

でも、それから、20年。
ずっと、ずっとずっと、一緒にふたりで暮らしました」

『ふたりで暮らした』と、そう言われたそうでした。
「ずっとふたりで暮らしたって。
猫と僕はふたりで暮らしたって、そう言ぅてはったわ」
オットは神妙な、切ない顔で、そう言いました。


「僕は、その後、いろいろあって、会社を辞めて、
しばらく無職でいたんです。ずいぶん長く、無職でした。
そのとき、僕は、ずっとずっと、猫とふたりでいたんです。
そりゃもう、朝から晩まで、離れたことは無かったです。
無職なもんだから時間だけは、ある。
だからよく、嵐山の川沿いに行って、本を読んでました。
猫はその僕の横で、ずっと寝転んで、一緒に川を見ていました。
ほんとうに、ずっと、ずっとふたりで一緒にいたんですよ。
僕はあんまり社交的でもないから、あのとき猫と出会って、
ワケも分からず拾ってしまったけど、猫と暮らしていなかったら、
僕はこの世にいたのかな、そう思ったりしてます」

オットは、ずっと話をする猫の人に、
どう言葉をかけてよいのか、分からず、それでも、素直に
「あれだけ一緒にいらしたから、その猫さんが亡くなって、
さぞかしお寂しいでしょう」と、言うと、猫の人は、
「それが不思議と、今はそうでもないのです」と答えたそうでした。

「猫が亡くなったのは、病院で、なんです。
今年の夏、ものすごく暑かったでしょう。
さすがに老体に堪えたと思います。
だから、僕が外出するとき、猫がくっついて来ても、
留守番させていました。
でも、数日前からどぅも様子がおかしいと思って、病院に連れて行ったんです。
すると、お医者さんに”容態がおもわしくないから、数日入院させた方がいい”
そう言われて、一瞬、連れて帰って安静にさせる方がいいのでは、と思って、
そうお医者に言ったんですが、ここはやはり入院で様子を見られた方が、って。
それで、猫を預けて帰ったんです。
そしたら、翌朝、病院で亡くなったんですよ」

「”やっぱり家に連れて帰っておけば良かったかもしれないって。
そう思って後悔した”って言わはったし、僕、
それはもし、連れて戻って容態が悪化してしまったら、それはそれで逆に、
あのとき病院にやっぱり預けて治療して貰っておけば良かったって思わはるやろうし、
それはもぅしかたのないことやと思いますよって、僕、ゆうてん」と、オット。
ワタシも、まったく同感でした。
さよならのときは、きっと誰しも、少しの後悔とか無念とか残念とか反省とか、が
生じると思う。
そういうこともすべて含めて、さよなら、の、ときだと思います。


「僕も今ではそう思います。
どうあっても、後悔したと思うし。
猫が亡くなったとき、僕、悲しくてどうにかなっちゃうだろうって思ってたんですが、
病院に猫を迎えにいって、猫の顔を見たとき、
猫が、ものすごく、ものすごーく穏やかな顔をしてたんですよ。
それを見て、ちょっとほっとしました」


僕ね。
今、猫を失って、悲しみにくれるというより、
猫のことを思うと、猫と過ごした楽しかったことしか、思い出さないんですよ。
思い出しては、つい、にまにましちゃってるんですよ。
猫と一緒に、ほんとに、川辺でぼーっと1日過ごした、のんきなときのこととか、
一緒にあちこち行ったときの、面白い出来事とか、
そんな、楽しかったことしか、思い出さないんです。
猫と一緒にいられて、ほんとに、良かったなぁって。
ほんとに、楽しかったことしか、浮かんでこないんですよ。



こんなにも…こんなにも輝いている言葉って、あるでしょうか。
いいや、ない。
猫の人と猫の間にあった愛情が、どれだけ豊かで素晴らしいものだったかを、
他人のワタシやオットも、まぶしいほどに、感じる言葉でありました。

楽しかったことしか思い出せない。

もぅ胸に沁みて沁みて沁みて沁みて、
号泣という表現ではないカタチでの、涙が、染みて染みて染みて沁みて出て来る涙を、
ワタシは感動のココロでもって、えんえん、流しに、流したのでした。


「僕ね、猫と出会った場所に、行ってみたんですよ。
ダンボールがあった場所に、もしかしたらまたダンボールがあるかも、なんて思って。
そしたら、ダンボールは勿論無かったんですけれど、
その通りの景色が、猫と出会った日の、20年前と、まったく一緒、同じだったんです。
何かね、すごく不思議な気持ちになりました」


猫の人と20年間一緒に暮らした猫は、もういない。
猫の人の肩の上には、もう2度と、猫は乗っかっていない。
猫の人の記憶には、猫との楽しい思い出だけが残っている。

ワタシもオットも、その猫がオスだったのかメスだったのかも、知りません。
そんなことはどうでもいいこと。

「また猫と暮らさはるんですか、なんての、聞かへんかった」とオット。
それももちろん、それで、いいのだ。
猫の人にまた何かどこかで縁が有れば、暮らすだろうし、
無ければないまま暮らされるでしょう。


20年間、猫の人の肩の上に暮らした猫さん。
さようなら。


街中でしばらく見かけなかったら、ワタシは友達たちと
「猫ちゃん、元気かなぁ~」と言い合っていましたよ。
あなたのことは、きっとずっと忘れません。
さようなら、猫さん。
天空に流れる川のそばで、のんびり過ごしていて下さい。
いつか、猫の人もそっちにゆかれるよ。
ワタシももちろん、いつか。
また、猫の人の肩の上に乗ってる姿で、すれちがいましょう!



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ちまと出会って、一緒に暮らし始めて、もうじき2年。

ちまの命は、どれだけの年数輝くのか、分からない。
でもそれは、ワタシにだって同じこと。
誰でもそれは、分からない。
ただ、猫の人の猫は、20年間生きた。
その20年間は、猫の人にとって、永遠と同じ意味を持つ。
猫と暮らした年数は、年数として区切りがついたけれど、
”意味”としての存在は、永遠。

ちまは、自分が生まれたときのことも、
自分がさよならを迎えるときのことも、考えていません。
ただひたすら、今だけの中に生きています。

今、ごはんを食べて、今、遊んで、今、お散歩に出て歩き、
今、おしっこをして、今、昼寝をする。
一生懸命に今を生きている、ということも、実はなく、
ただ”すとん”と、今の時間を、生きている。

ちま、すとん、と一緒に生きよう。
ちまちゃん。
それは、永遠に続くこと。

赤ちゃんのときから、今、そしてこれからも、
そしてさよならのあとも、ずっと。



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ちまの、永遠に思いを、はせる。



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猫の人に、心からのお悔やみを申し上げます。






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コメント

今を大切にします!!

はじめまして。
チーバからおじゃまします。ちまちゃまブログを、帰宅途中に読んでしまい、途中でまずい?と気ずくも、ホームでツッーと涙、ジワジワ涙、こらえると鼻水が(悲惨)風邪のふりしてごまかしましたが…。??(難アリ)
☆さよならのあとも永遠に~本当にそう…しみじみ…涙…
人生いろいろ…
♪今の幸せ魔女、リリイ(マルポメ♀1才4か月)家の5代目です。初めての少食わがまま娘に、翻弄されて我が家は幸せの真っ只中にいるのです!?よね!?

猫の人の猫様に合掌。しっとり良いお話をありがとうございます。ルゥ様ちま様ブログが大好きです。共感の多いことばかりで…。可愛いリィと、ふたりで またおじゃまさせてくださいね。
PS・オペ気がもめますが、病院は安全な所です。できるだけ苦痛のないようにと、願っております。 頑張って!

Re: お立ち寄り下さりありがとうございます☆

ゆうみん様、

初めまして。
お立ち寄り下さり、ありがとうございます☆

>今の幸せ魔女、リリイ(マルポメ♀1才4か月)家の5代目です。
 初めての少食わがまま娘に、翻弄されて我が家は幸せの真っ只中にいるのです!?よね!?

マルポメさんとお暮らしなのですね☆
さぞ可愛らしいワンコさんでしょう~
5代目とは!たくさんの愛の交歓をなさって来ておいでなのですね。
うらやましい~

イキモノと暮らすということは、
ほんとうにいろんなことを教わりますよね。
考えたり悩んだり、幸福をうんと味わったり
身もだえするほど大爆笑だったり。
いろんなことを、知ることができますよね。
ありがたいことです。

そして、こんな稚拙なブログでも、
お褒めのお言葉を頂戴出来ますこと、も、たいへん感謝な思いでいっぱいです。

> PS・オペ気がもめますが、病院は安全な所です。できるだけ苦痛のないようにと、願っております。
頑張って!

本当にどうもどうもどうもありがとうございます!☆
手術への恐怖と不安と、そしてこの不愉快さからの解放を思って、
気持ちは複雑です(苦笑)
でも、ご声援を頂いて勇気満点充填です!
ありがとうございました☆
10月は、入院先から記事UPなぞ出来れば、
これまた人生経験です。(のんき)

お優しいお言葉を、いろいろありがとうございました☆
いろいろ、頑張ります!

心の中がほわーっと温かくなりました。

目指せ!長寿犬!
目標20歳犬!
うちも縁あって我が家に連れてこられて(苦笑)、現在14歳6ヶ月のおばあちゃんワンコさんがいます。
年相応にそれなりにあちこち衰えも出てきてますが、ゆっくりゆっくり一日一日をワンコペースで過ごして、気づいたら20歳になってた……なーんてのが飼い主の大いなる夢でもあります。

20年といえば、オギャーと産まれた赤ちゃんが成人する年月。
猫の人と猫ちゃんにとって、20年間は長かったのか、あっという間だったのか…
どちらにしても二人にとって中身の濃い濃い年月だったんでしょうね。
素敵なお話し、ありがとうございました。

Re: お立ち寄り下さりありがとうございます☆

ちか様、

初めまして☆
お立ち寄り下さり、ありがとうございます。

> 目指せ!長寿犬!
> 目標20歳犬!

ほんとうにおっしゃる通り!同意です。
20年とはいかほどに長いことか。
ヒトの世界においても、20年といえば、そこそこ歴史になりますよね。
いわんやドウブツにおいてや、ですよね。
わが家のちまも、20年目指します☆

> うちも縁あって我が家に連れてこられて(苦笑)、現在14歳6ヶ月のおばあちゃんワンコさんがいます。


素敵ですね~☆
ひとでも犬でも猫でも何でも、ご長寿ってめでたいですよね!
どうぞ末永くのますますのご長寿を☆

> 猫の人と猫ちゃんにとって、20年間は長かったのか、あっという間だったのか…
> どちらにしても二人にとって中身の濃い濃い年月だったんでしょうね。

本当にそうだろうと思います。
いつも本当に、街中でお見かけするときには、猫の人と猫、が一組でした。
猫さんも、本当に幸せな一生を送ったとしみじみしていると、思います。

出会いも別れも、すべて、ご縁。
それを忘れないで暮らしたいなと、そう思います。

お優しいコメントをお寄せ下さり、ありがとうございました。
またお気が向かれましたら、お立ち寄り下さい☆
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