物語をおもう

2017.07.30 04:26|日記
勤め先で、今年に入ってから、
同僚のお身内での、さようならが続いている。

ちょっとそれはほんとに、
驚くほど。

思い浮かぶだけでも、
最初は、30代後半同僚の義理の母(お姑さん)
まだまだお若いお姑さんだっただろうと思う。
それから、次々とさようならが、あった。

ある同僚のおばあさん。
おじいさん。
おじいさんは90歳をうんと超えてらしたそうだから、
ご家族の大号泣はなかったけれど、
それでもさようならには、重みは変わらない。
数日後にまた別の同僚の、おじいさん。

それから、お父さん。
「ずっと心臓が悪かったからね。
余命も宣告されてたからね。
まあね。
覚悟してたけどね」
40歳になったばかりの、同僚女性。
お父さんとは、正直ずっと不仲で、
盆暮れに会うのも厭わしいと言っていた。
けど、永遠のさよならになると、意味が違う。
いろいろ感じ入るものは、去来したと思う。

それから、40代中盤の頃の女性同僚の、お母さん。
詳細まではお聞きしていないけれど、
忌引き明けの勤め先復帰のとき、
こちらが胸痛むほど、憔悴し切ってらしたから、
さよならには、
深いご事情がおありだったろうと思う。

そして、20歳を越えてすぐの、若い若いお嬢さんのような
女子同僚の、お母さん。
お母さんは、50歳になられたばかりだったと聞いた。
詳細まではたずねなかったけれど、
癌に立ち向かわれていた、お母さんだった。


新盆を迎える同僚が、こんなにも多い年があるなんて。。。
自分自身の年齢や環境に、
ずいぶん思い入るこの半年だった。


「お母さんが、お盆に帰って来ると思うと、
すごく嬉しいです」

そう、20歳ちょっとの、可愛い同僚女子が
ランチ休憩を一緒にしているとき、言った。
きっぱり言うけれど、
ワタシはそのとき、泣いた。
その言葉を聴いた瞬間、泣いた。
何も言わず泣くワタシを、
彼女は何も言わずに見つめていた。
彼女も、泣いていた。

「お母さんが帰って来てくれると思ったら、
会社から家に戻るのも、嬉しい。
お盆が済んでも、お母さんには
ずっとそのまま家に居て欲しいです」

ふたりで涙を流しながら、ランチを食べた。
彼女のお母さんに、思いを馳せた。



0730biv (2)



ひとの、物語をおもう。

亡くなったおばあさんの、生きた物語を思う。
おじいさんの生き抜いた、戦前戦中戦後の物語を思う。

ひとり娘さんと、そうまで不仲に生きてしまった、お父さん。
お父さんの物語を思う。
どこで関係がこじれてしまわれたの。
仲直りは、次の世界でお願いします。
同僚の、お父さんの心を思う。

「母が死んでしまうなんて」と、更衣室で大声で泣いていた女性同僚。
大ベテラン女性上司が、それを一喝していた。
「あたしだって、母はとっくに亡くなってるわよ!
誰だって通る道よ!」
キツい上司だなあやっぱりーと、
ロッカーを挟んで、もれ聞こえるその大きな言い返し声に、
正直、タハーアと思いながら、
それでも少し、それは本当の真実なんだよなあ、と思った。
顔を涙でむちゃくちゃにしながら、出て来た女性同僚に、
ワタシは何も声をかけられないでいた。
ただただ、さよならをされた、お母さんの物語を思っていた。
お母さんの、生きられた物語。



0730biv (3)



ワタシの物語は、今のところ、まだ続いてる。
この先の未来は、どこまであるのかは誰にも分からない。


オットのレコードや音源たちが、ごちゃっとある中から、
1枚のCDがぽろり、出て来た。
オットの幼馴染で大親友だったO氏が、
大好きだったという、英国バンド。
オットとワタシの結婚式のときにも、BGMに
そっと流してくれていたバンド。

O氏は4年前、さよならのひとになった。
胃癌と向き合っていた。
治ったと思っていた、でも。。。
ご本人は、ワタシに会ったとき、
気丈に振舞われていたけど、
オットには「ものすごく、つらい」と言われていたらしかった。
ワタシも、あとからそう聞かされて、すごく切なかった。

O氏は、さよならの前、
本当に偶然だったけれど、わが家に遊びに来てくれていた。
夜も深い時間、オットと一緒に、外で1杯楽しんで来たあと、
わが家へいらした。
久しぶりにお会いしたワタシは、正直に言うと、
一瞬声を失った。
それくらい、O氏は痩せておられた。
きっとそれを言わず、ワタシは、
ふたりのお夜食に、小さな器で、おうどんを出した。
咄嗟で、たいした具材がなかったから、
細ねぎと天かすとわかめの、素朴なおうどん。
味は、ふたりともバリバリの<生粋京都人>だから、超・薄味。
おだしの味だけみたいなおうどん。

胃癌の再発で、今度は正直ちょっとしんどいらしい。

そうオットから聞いていたから、
召し上がって貰えるか分からなかったけれど、
とにかくお出しした。
すると、O氏はぜんぶ食べてくれた。

「最近、めしが食べにくくて。
でもこのおうどんは、美味しく食べられたなあ!
嬉しかった。
ありがとう、ご馳走様でした!」

O氏は、それからほどなくして、川の向こうへ行ってしまった。
とっても朗らかでいつも愉快なO氏だった。
犬族のことも大好きで、
一緒に暮らした経験もある方だったから、
ちまの、ことも、すごく大事にしてくれた。

オットとO氏は、おうどんのあと、
朝方近くまで、オットの部屋にふたりでこもり、
レコードを聴いていた。

「学生時代に戻ったみたいやったな」

そう、ものすごく楽しそうなお顔で、帰ってゆかれた。
奥さんほんま、朝近くまでおじゃましてごめんね!と。
とにかく、O氏もオットも、ものすごく幸せそうだった。
O氏のご実家は、オットの家から、
ほんの数個、町内が違うだけのところにあった。
今はもう、そのおうちには、誰も住んでいない。
もうじき、取り壊しになるという。


O氏の、生きて来られた人生に、物語をおもう。
オットがきっと、大きく登場する、物語。
O氏も、オットも、
まだほんの半ズボンの少年のころからの物語を思う。

O氏が大好きで、
オットも大好きな英国バンドのひとつ。
オットとワタシの結婚式のかたわらで、流れていたバンド。
久しぶりに、聴いた。
オットは、静かに「やっぱええなあ」と言った。
ワタシは、やっぱええなあと思いながら、泣いた。


〝 This Will Be Our Year〟   by the Zombies

The warmth of your love's like the warmth of the sun
And this will be our year, took a long time to come
Don't let go of my hand, now darkness has gone
And this will be our year, took a long time to come

  ・・・・・(上記歌詞内、始めの抜粋)


あなたの愛情は太陽みたいにとってもあったかい
やっとこのときが来たね
ずっといっしょに生きよう

手を離さないで
悪い予感なんて何ひとつない
待ちにまったときがついに来たよ
ずっといっしょに生きていこう       (←ワタシの超・意訳)




0730biv (1)



ひとを思うことは、自分を思うことと似てる。
ひとの物語を思うとき、自分の物語も、思い起こす。

オットの人生も、いつかさよならの日がある。
ワタシの人生も、かならず終わりの日が来る。
ちまの人生も、同じように。
でも、物語を思う。
生きている限り、ときには、物語を思い出す。
それぞれに、それぞれが持つ物語。

お盆を前に、思ったこと。




0730biv (5)




↓ おまけ

オットとワタシから、ひとけのない公園を
爆走して、飛んで逃げるようにして走り去る瞬間の、ちまの図。

必死になりすぎて、腰が。
腰が!
んも~立派なへっぴり腰なのでした(大笑)

可愛いもんだから、ここに☆



0730biv (4)





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コメント

No title

僕もいつか物語は終わる。卑弥呼様はいつも言ってるよ。身体障害者になったとうさんよりさき
にはおわらせてはいけない!手術する前日まで車椅子なんて考えてもいなかったからね。

Re: 末永く幸福を

サン様、

お立ち寄り下さり、有難うございます。

いつか終わりを迎える物語ですが、
終わりを迎えるそのときも、それから先も、
末永い幸福がありますように。
時の流れを思いつつ。
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京都のすみっこから、オットとマルプー・ちまとのんびり暮らす日常を気ままに綴ります。

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